最年少の大陸横断飛行士を目指して墜落死したアメリカの少女。その事件をめぐって自由の意味を考える表題作ほか22篇のエッセイ。 アメリカ、ワイオミングのジェシカ・デュブロフは七歳で、最年少の大陸横断のパイロットになろうとしていた。しかし雷雨の中、彼女の操縦するセスナは離陸直後に方向を見失って墜落した。彼女の母親は、事件の後「彼女にはやろうと思うことをする自由があるんです」とコメントした。著者はこの事件を取り上げた表題作「七歳のパイロット」の中で、「人は、訓練や教育を終わるまでは、一人前の自由を持たない」という常識的な判断ができない社会における愚かな事件であり、同様の事件が日本でも十分に起こりうると述べている。 本書は、世界各国を旅する著者が、現地の新聞のいわゆる三面記事で見つけた大小様々な人間のドラマを紹介するエッセイ集の第二弾(現在も雑誌『ボイス』で好評連載中)。誰もが「平和」や「自由」や「善意」をよきものとして望んでいるという日本人の無邪気な価値観を鮮やかに裏切る内容の一冊である。
七歳のパイロット―地球の片隅の物語 曽野 綾子
£ 3.00
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