empathyを深める会話――あたりさわりのない答えをしたければ、“Just fine.”でよかったのです。しかし、彼女は違った選択をします。……“But it’s not what I dreamed about as a girl.”と真情を吐露します。初めて会った人に対してここまで語るのは、なかなかの勇気が要る決断と言えるでしょう。なぜ勇気が要るかと言えば、人間は正直な気持ちをシェアする時、自分をvulnerableな(傷つきやすい)状態に置くことになるからです。一方、そうした気持ちの分から合いをされた場合、相手の側にも危険は生じます。心のこもったこのコミュニケーションのボールをきちんと受け止めることができるかどうかという危険です。危険と言うよりも、機会と言ったほうが良いかもしれません。相手の深い思いを受け止めて、より深い人間関係を築くという機会です。さりげない質問に大してこれだけの深みのある答えをした相手を失望させない反応ができるかどうか、そこに2人のその後の関係はかかっています。――本書より
目次
- ●相手のavailabilityを確かめる
- ●「あなたに釣られてあげる」
- ●始まりはmagicから
- ●「カサブランカ」に見るシェアリング
- ●equal footingに立った関係とは
- ●性的関係への意思表示
- ●“I love you.”と「君はいい女だね」の文化差
- ●チャタレイ夫人の欲望
- ●アン王女の愛の告白
- ●誕生日には花を?
- ●デートレイプの問題
- ●プロポーズは「花嫁の父」に?
- ●integrityが選択する別れ