スヌーピーと生きる―チャールズ・M.シュルツ伝

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『ピーナッツ』生誕50周年記念。史上最高の人気漫画家、唯一の本格的伝記。

【Editorによる解説】

『ピーナッツ』の登場人物には詳しくても、作者のシュルツ氏についてはあまり知らない、という方は、多いかもしれません。
また、約半世紀にもわたって、どうしてこんなに面白いコミックを書きつづけられたのだろう? そんな当然の疑問を持っている方も、多いのではないでしょうか。
本書は、『ピーナッツ』の著者チャールズ・M・シュルツ氏の唯一の本格的公認伝記であるとともに、この超人気漫画の驚くべき長寿と、そのセンスの秘密をさぐる「ピーナッツ読本」でもあります。
原書は、1989年にアンドルーズ&マクミール社から出版されました。原題は「GOOD GRIEF(いやはや!)」。本書をお読みになれば納得の、なんともシュルツ氏らしい口癖からつけられました。91年に都内の出版社から訳出されましたが、その後、94年に作者があとがきをつけた再版をもとに、99年、朝日新聞社から再度単行本になりました。それが今年の10月、原書の出版から13年という少々長い道のりを経て、文庫版という手に取りやすいかたちで出版できることになりました。

担当編集者イチオシの読みどころを少しご紹介させていただきます。まずは第6章です。この章では、『ピーナッツ』の核心ともいえる、人間心理の追求を描くための「十二の工夫」が分析されています。「凧食いの木」、「ライナスの毛布」、「シュローダーの音楽」、「ルーシーの精神分析スタンド」、「ウッドストック」、「野球の試合」、「レッド・バロン」そしてもちろん「スヌーピー自身」など。『ピーナッツ』を語る上で欠かせないキャラクターやエピソードがどのように生まれ、発展していったか、実際のコミックを例にとりつつ、詳しく書かれています。これらのテーマは、それ自体一つ一つが深刻なものであるかもしれません。それらが、シュルツ氏の類まれな想像力でユーモラスに描かれていくことによって、面白いコミックとなっていく、その創意工夫の課程が詳しく書かれた、まさに創作の秘密の章です。
ちなみに、この本の著者リタ・グリムズリー・ジョンスンは、夫が『アーローとジャニス』という漫画の作者なので、このような難しい仕事を成し遂げることができたのだろう、と訳者の越智道雄氏はあとがきに書いています。
この章に限らず、本書は、一日たりとも休めない新聞連載のなかで、いかに面白くあり続けるか、というシュルツ氏の約半世紀にわたる努力に対する深い理解と、敬意から生まれたと言えるかもしれません。
そのほか、『ピーナッツ』に至るまでのシュルツ氏の漫画家としての歩みを描く第1章「ピーナッツが生まれるまで」には、チャーリー・ブラウンとスヌーピーが生み出されるまでの思考錯誤の日々が描かれています。また、実在する赤毛の女の子へのインタビューをもとに書かれた第7章「赤毛の女の子」や、舞台設定の謎に迫る第16章「『ピーナッツ』登場人物たちの周辺」など、シュルツ氏や、氏をよく知る漫画家たち、家族、スタッフ、友人への莫大な時間をかけて行われたインタビューによってあかされていく『ピーナッツ』の誕生と世界の発展の舞台裏には、これまで何度もコミックを読み返してきた方々にも、新たな発見があることと思います。

本書には、シュルツ氏がどこで生まれ、どのように育ったかということをはじめ、人生の様々な局面で抱いた様々な感慨から得た、ユニークな人生哲学が随所で語られています。それらはやがて『ピーナッツ』の登場人物たちが持つにいたる人生哲学でもあるわけですが、それをすべてここでご紹介することはできません。作者のリタ・グリムズリー・ジョンスンは、『ピーナッツ』は、シュルツ氏が、幸せをたくさんの形で定義づけた「幸せに関する本」だと書いています。「幸せとは、暖かい子犬、たくさんの落ち葉、数多のパズル・ピースの中から見つけた縁がピンクのピース、空の一部分、帆船の帆のてっぺんの部分、最初のひとっとびでつかんだファッジ(やわらかいキャンディ)」。コミックを読んだ時のおかしくて、少し切なくて、なんだか幸せな気持ち。そんな気持ちになるわけが、この本に描かれたシュルツ氏の人柄から確かに伝わってきます。
『ピーナッツ』の世界のさらなる理解のために、ぜひ本書を手にとってみてください。

(出典:日本のスヌーピーの公式サイトwww.SNOOPY.co.jp「イチオシ文庫」)

Condition

良い

Original Price

¥2,400

Type

A5判

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