天井裏の子供たち　北杜夫

「若き日と文学と」より飛び移り。精神病院の治療の一環として映画製作に携わることになった患者たち「もぐら」、少年たちが憧れる秘密結社ごっこを描く表題作、家族など眼中にない老母が唯一心を許した孫娘に語る悪魔の話「静謐」、父茂吉との関わり「死」、自分の老いを意識した心理の錯綜「白毛」の5編を収録。いずれも題材に関わらず、ギャップから生まれるユーモアとペーソスの軽味がたっぷり感じられます。「死」の絶望的な価値観の断絶には妙に共感し、「静謐」の秘密を知る孫娘と親たちの暢気さ、日本と西洋の対照イメージを楽しみました。