迫害を逃れて、アメリカにわたったユダヤ出身の一経済学者の思想は、はじめ「国家からの自由」を求める小さな声に過ぎなかった。70年代、その声は次第に大きくなり、やがてアメリカの政権中枢部を覆い、南米をかわきりに世界へとあふれ出す。―市場原理主義(ネオリベラリズム)。市場が人間を支配する思想へと変質したそれは、実体経済を破綻させ、人心を荒廃させる「悪夢のサイクル」を産み出した。
目次
第1章 未来は見通せていた
第2章 なぜ、私たちはルール変更を受け入れたのか
第3章 市場原理主義の起源
第4章 悪夢のサイクル
第5章 日本のシカゴ・ボーイズ
第6章 バブル再考
第7章 戦争との親和性
第8章 人間が市場を